自動車整備士の人手不足、なぜ?現状と対策を解説

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自動車整備士の人手不足、なぜ?現状と対策を解説
自動車整備士の数は減少傾向にあり、その背景には少子化や若者の車離れ、職業選択の多様化などが挙げられ自動車整備士不足は進行していっています。また整備士の高齢化や離職率の高さも問題となっています。整備士不足は、整備に時間がかかるなどのデメリットを引き起こし、不正行為を増加させる可能性も全くないとは言えません。
自動車整備士の現状、なぜ人手不足が進んでいるのか、その背景や課題を解説するとともに、業界が取り組むべき対策について考察します。
自動車整備業界では、倒産や休廃業・解散の件数が過去最多ペースで増加しています。その状態はグラフを見ても明らかです。
これには、深刻な人手不足や後継者問題、経営者の高齢化が大きく影響していることが指摘されています。特に、業界全体の構造的な問題として、自動車の電動化や電子化の進展が、整備事業者にさらなる負担を強いており、これが市場からの退出を加速させています。この複合的な課題が、整備業界にとっての大きな転換期となっているのです。
自動車整備士の数が減少中
自動車整備士の数は年々減少しており、業界全体で深刻な問題となっています。2022年度の自動車整備士の有効求人倍率は4.5倍と、他の職種に比べて圧倒的に高い数値を示しています。また、整備士を目指す若者も減少傾向にあり、整備専門学校の入学者数は過去15年で12,000人から6,500人にまで半減しました。整備士の平均年齢は46.7歳に達し、高齢化が進む一方で若手の確保が課題です。

さらに、整備士数は前年比で5,274人(1.6%)減少し、下記の自動車事業所の対前年度増減率のグラフを見ると事業場数や指定工場数も連続して減少していることがわかります。

なぜ自動車整備士の不足がこれほどまでに加速しているのか、自動車整備士不足となる根本的な理由について詳しく解説していきます。

自動車整備士不足の背景にあるなり手不足

自動車整備士の不足の背景には、まず若年層の「なり手不足」が大きな要因となっています。

自動車の電動化や電子化の進展が、より高度な技術を必要とする整備作業を増やし、整備士に求められるスキルも高度化しています。このため、新しい技術に対応できる人材の確保がますます難しくなっています。またさらに、整備士の労働環境が厳しいことも、若者がこの職業を敬遠する理由です。

長時間労働や低賃金といった課題があり、車が好きで整備士を志しても、劣悪な労働条件のために早期離職するケースが多い現状があります。

業界では、若者の興味を引くために働き方改革や待遇改善の取り組みが進められているものの、十分な成果はまだ見えていない状況です。

自動車整備士不足の原因:少子化の影響

自動車整備士のなり手不足を加速させているのは、少子化による若年労働人口の減少です。日本の15歳から64歳までの生産年齢人口は、平成7年の8,726万人をピークに減少し続け、平成30年には7,545万人まで減少しました。ピーク時と比較すると、1,181万人の減少となります。また、総人口に占める割合も平成4年の69.8%がピークで、その後減少を続け、平成30年には59.7%に落ち込みました。これは、昭和25年以降で最低の割合となっています。それはこの下のグラフを見ても明らかです。

日本全体で労働人口が減少しているため、自動車整備士を目指す若者の数も急激に減少しています。

整備士不足の要因:若者の車離れ

若者の「車離れ」が深刻化しています。これは、経済的要因と社会的要因が複合的に影響しています。まず、車の購入費用や維持費が高額であるため、若年層にとっては負担が大きく、車を所有すること自体が難しくなっています。加えて、保険料や駐車場代なども加わり、車を持つことのハードルが高くなっているのです。

また、都市部では公共交通機関の発達が進んでおり、電車やバスを利用すれば、車がなくても日常生活に不便を感じない人が増えています。このような環境では、特に若者にとって車は必需品ではなくなり、結果として自動車に対する関心が薄れています。

自動車整備士の高齢化が進行中

2つ目の自動車整備士の根本的な理由は、自動車整備士の高齢化です。この根本的問題も急速に進行しており、業界全体で大きな課題となっています。2023年度の調査によると、整備士の平均年齢は47.2歳に達しており、特に小規模事業所ではその影響が顕著です。こうした小規模整備工場では、平均年齢が52.7歳にまで上昇し、50歳以上の整備士が多数を占めており、この状況は過去7年間にわたり続いています。

このような高齢化は、現場での体力的な限界を感じる整備士が増えていることも一因となっています。多くの整備士が、過酷な労働環境の中で体力的負担に耐えられず、早期退職を余儀なくされています。このため、自動車整備士業界では若手の整備士を育成することが急務とされています。

自動車整備士の不足によっておこるデメリットがあります。まず、整備士が不足すると、車検や修理の待ち時間が長期化し、消費者にとっては車を使えない期間が延びるため、不便を感じることが増えます。実際、修理の待ち時間が数週間、場合によっては2か月に及ぶケースも報告されています。

また、整備士が少ないため、一人あたりの作業負荷が増大し、既存の整備士に過度な負担がかかる結果、労働環境の悪化や離職率の上昇が進むという悪循環が生まれています。

これにより、若者が整備士を目指さなくなり、さらなる人材不足が進行しています。詳しく説明していきます。

整備に時間がかかる問題

自動車整備士不足が原因で、整備作業にかかる時間の長期化が深刻な問題となっています。例えば、通常であれば数日で完了するオイル交換が2週間待ちとなるケースや、複雑な修理に至っては2か月もかかる事例も報告されています。これは、整備士の数が不足しているため、既存の整備士に過剰な負担がかかっていることに加え、労働環境の厳しさが影響しているのです。特に、長時間労働やサービス残業が常態化しているため、整備士が十分に作業をこなせない状況が続いています。

さらに、現代の自動車は電子制御システムや先進的な技術を多く搭載しており、これらの診断や修理には専用のスキャンツールが必要です。特定の技術やスキルを持つ整備士が不足しているため、こうした高度な整備作業に対応できる人材が限られており、結果として作業の遅れが生じています。特に、電子制御系のトラブルでは診断が難しいことから、整備にかかる時間がさらに増える傾向にあります。

整備士不足が不正行為を増加させる可能性も

整備士不足が進行する中、不正行為のリスクが高まっていることが懸念されています。特に、慢性的な人手不足が現場に与える影響は深刻です。整備士が不足することで、現役の整備士に対する負担が増加し、作業にかける時間や労力に限界が生じます。これにより、時間的・精神的な余裕が奪われ、通常であれば慎重に行うべき作業が簡略化されるリスクが高まります。例えば、車検の際に本来はしっかりと行うべき検査項目が省略されたり、修理が不十分なまま完了したとされるケースが増えているのです。

また、現代の自動車は高度な電子制御システムを搭載しており、これらの整備には専門的な知識や技術が必要です。しかし、こうした技術を持つ整備士が不足しているため、十分な対応ができないまま不適切な処理が行われるリスクも存在します。不正車検が発覚する事例も増加しており、こうした背景には整備士不足による過度なプレッシャーや業務の効率化が影響しています。

自動車整備士不足に対し、国はさまざまな対策を進めています。まず、国土交通省は整備士の人材確保に向け、広報活動を強化し、若年層や女性に対して整備士の魅力を伝える取り組みを推進しています。学校訪問や職場体験、PRビデオの制作などが行われ、整備士という職業の認知度向上を目指しています。

さらに、現役整備士のスキルアップと研修プログラムの充実にも注力しています。先進技術に対応するため、VR教材や最新車両の提供などを活用して、新技術の習得をサポートしています。また、給与や待遇の改善も取り組みの一環として進められ、整備士の年収は年々上昇傾向にあります。

特に、電動化や自動車技術の高度化に対応するため、自動車整備士資格制度の見直しも行われ、資格取得の要件や試験内容の改訂が進んでいます。これにより、新しい技術にも対応できる整備士を育成する体制が整えられています。

女性整備士の働きやすい環境整備

女性整備士が働きやすい環境の整備に向けて、国や業界はさまざまな取り組みを進めています。

まず、国土交通省は、女性整備士の負担を軽減するためのガイドラインを策定し、特に体力的な負担を減らすために、軽量で扱いやすい工具の導入や、作業の分担による工夫を推奨しています。

また、工場設備の改善も進められており、空調設備や男女別の更衣室、トイレの設置など、女性が快適に働ける職場環境の整備が重要視されています。

さらに、女性整備士がライフイベントを経ても働き続けられるように、産休・育休制度の充実や、復職後の研修制度が導入されています。時短勤務や柔軟な勤務体制の導入も、女性が長く働き続けるための重要な施策として進められています。

外国人整備士の受け入れに関する特定技能制度

自動車整備業における外国人整備士の受け入れは、深刻な人手不足を補うために、特定技能制度を通じて進められています。この制度は、即戦力となる外国人労働者を対象とし、主に自動車整備の基礎的な技能と日本語能力が求められます。外国人は「特定技能1号評価試験」に合格することで、自動車整備士としての在留資格を取得し、最大5年間日本で働くことが可能です。

外国人整備士の受け入れに際しては、試験の内容が高度であるため、特定技能を取得するには一定の技術レベルが必要です。また、既に「技能実習」を修了している場合、特定技能1号の試験の一部が免除されるなど、技能実習からの移行もスムーズに行える仕組みになっています。

自動車整備士の将来性は、多くの変化の中でも依然として安定しています。日本では車両の保有台数が毎年増加しており、整備士の需要は高いままです。しかし、少子高齢化による人材不足や若者の「車離れ」により、整備士を目指す人材は減少しており、業界全体で深刻な問題となっています。

また、自動車業界では「CASE」(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)と呼ばれる技術の進化が進んでおり、特に電気自動車(EV)や自動運転車の普及に伴い、今後の整備士には高度な電子制御やデジタル技術に対応できるスキルが求められています。このため、整備士として長く活躍するためには、新技術に対応できる柔軟性や技術力の習得が必要です。

さらに、2021年以降はOBD検査(車載式故障診断装置)などの新たな検査制度の導入がスタートしており、整備士の役割や求められる技術もさらに高度化することが予想されています。そのため、全体として、今後も自動車整備士は必要不可欠な職業でありながら、技術の進化に対応できる人材が一層重要視されることとなるでしょう。

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これには言語の壁や文化的差異、ビザ取得の手続きなども含まれますが特定技能外国人が安心してスムーズに生活ができるよう住宅確保のサポートや生活に必要な契約支援等までも登録支援機関がサポートします。

このようなサービスを利用することで、企業は効率的に優秀な外国人材を採用し、彼らが新しい環境に順応するための支援も提供できます。また、法律遵守や社内教育プログラムの設計といった複雑なプロセスもサポートされるため、企業は外国人材と共に成長し続けることが可能となるのです。

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