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近年、多くの企業が「新人を採用してもすぐに辞めてしまう」「若手人材が定着しない」といった人材定着の課題に直面しています。特に人手不足が深刻化する中、安定した労働力の確保は、事業の継続・成長のために避けて通れない経営課題と言えるでしょう。
こうした中で注目を集めているのが「特定技能外国人」の採用です。即戦力として働ける特定技能外国人は、定着率の高さや若手人材の確保といったメリットも期待でき、人材不足の解決策として多くの企業が導入を進めています。
本記事では、企業が抱える人材定着の課題を整理しつつ、特定技能外国人の採用がもたらすメリットや成功のポイントについて詳しく解説します。
要約
・新卒3年以内の離職者は高卒→38.4%、大卒→34.9%と4割弱に至る
・特定技能外国人の採用は、人材の定着率向上と安定的な労働力確保に効果的な手段である
・特定技能外国人が定着する理由は、長期的な雇用を前提に来日しており、高い労働意欲を維持しやすいため
・高齢化が進む職場にとって、若い人材かつ即戦力を配置できるのはメリットが大きい
- 企業が抱える人材定着の課題
多くの企業が新規採用した社員の定着率の低さに悩んでいます。新卒の3年以内離職者は、高卒で38.4%(前年度と比較して1.4ポイント上昇)、大卒で34.9%(同2.6ポイント上昇)にのぼります。
特に中小企業や人手不足が深刻な業界で、この割合がさらに高いことが示されています。
事業所の規模では「5人未満」では高校卒で62.5%、大学卒でも59.1%となっています。また、業種では「宿泊業、飲食サービス業」の高校卒で65.1%、大学卒でも56.6%となっており、この事業規模や、職種では実に約6割が3年以内に退職してしまうというのが現状です。

参考:厚生労働省令和3年統計
離職が多いと企業は採用コストや教育コストを何度も負担することになり、人件費の増加や業務効率の低下を招きます。たとえば、新卒社員1人の採用コストは平均90万円以上、さらに研修・OJTにもコストがかかります。
それにもかかわらず、短期間で退職されてしまうと、その投資が回収できないまま企業側の負担だけが増えることになります。
人材の流動性が高まる一方で、企業は定着率向上のために、福利厚生の充実、労働環境の改善、メンター制度の導入など様々な施策を講じています。しかし、こうした取り組みを行ってもなお、人手不足が解消されない、採用してもすぐに辞めてしまうといった課題は依然として解決されていないのが現状です。
この状況の中で、新たな人材採用戦略の一つとして特定技能外国人の雇用に注目が集まっています。
外国人雇用というと賃金の低さがメリットと考える雇用者が多かったのですが、現在では状況は変わってきているのです。
2019年に施行された特定技能制度は、日本の人手不足を解消するために導入されました。特定技能1号の在留資格を持つ外国人は、最長5年間の就労が可能であり、日本の職場で一定の技術と日本語能力を持って働くことができます。日本企業にとって特定技能外国人を採用するメリットは大きく、特に長期雇用の安定性が期待できます。
実際に、特定技能外国人の3年以内の離職率は約16%と、日本人の新卒離職率と比較して定着率が高いことが報告されています。
これは、特定技能外国人が長期的な雇用を前提に来日していること、また母国への仕送りやキャリアアップを目的に働いているため、高い労働意欲を維持しやすいことが理由として挙げられます。
さらに、特定技能外国人は来日前に技能試験や日本語試験をクリアしており、即戦力として活躍しやすいという特徴があります。
- 特定技能外国人を採用するメリット
特定技能1号では最大5年間の雇用が可能であり、日本人よりも短期離職のリスクが低いため、計画的な人員配置が行えます。特に、頻繁な人材の入れ替わりに悩んでいる企業にとって、安定した労働力を確保しやすい点は大きなメリットです。
離職率が低いため、新たな人材を頻繁に採用する必要がなくなり、結果として採用・研修コストを抑えることができます。また、特定技能外国人はすでに一定のスキルを持っているため、日本人の新卒や未経験者よりも教育コストを抑えられるケースが多いです。
介護の例を挙げてみます。
- 高齢者の食事・入浴・排泄介助などの 基本的な介護技術
- 認知症ケア の基礎知識
- 福祉用具の活用
- 日本語での 日常会話と報告業務
- 介護技能評価試験・日本語試験の合格が必要
といった技術を習得しています。
異なる文化的背景を持つ外国人が職場に加わることで、新しい視点や価値観が生まれます。このことは企業の競争力の強化にもつながります。さらに、外国人従業員がいることで海外展開や外国人顧客対応の強化など、企業のグローバル化にもつながります。
少子高齢化が進む日本では、今後も労働力不足が続くと予測されています。特定技能外国人の多くは20~30代の若手であり、年齢層の高い職場に若い労働力を確保できるメリットもあります。
特に、建設・介護・製造業など慢性的な人材不足が続いている業界において、特定技能外国人の受け入れは有力な解決策となるでしょう。
せっかく若手に仕事を教えてもすぐに離職してしまう、そのため教える側のモチベーションが下がってしまっているという企業であれば、このメリットは特に大きなものとなるはずです。
- 特定技能外国人の定着を成功させるために
外国人が日本で快適に暮らせるよう、住居の確保、行政手続きのサポート、日本の生活ルールの説明などを行うことが重要です。特定技能1号では、企業または登録支援機関(特定技能1号の外国人を雇用する企業に代わって、生活・就労支援を行う機関)が以下のような生活支援を提供する義務があります。
言語・コミュニケーションサポート
特定技能外国人は一定の日本語能力を持っていますが、業務上の細かい指示などをスムーズに伝えるためには、やさしい日本語の使用、マニュアルの多言語対応などの工夫が必要です。
また、日本人社員側にも異文化コミュニケーションの研修を行い、お互いに働きやすい環境を整えることが求められます。
職場環境への適応支援
日本の職場文化にスムーズに馴染めるよう、就業規則や安全ルールを丁寧に説明し、疑問があればすぐに解決できる環境を整えましょう。
さらに、宗教的習慣(礼拝時間の確保など)や食文化への配慮を行うことで、働きやすい職場環境を実現できます。
キャリアパスの明確化
特定技能2号への移行(無期限就労・家族帯同可能)や、リーダー職への昇進など、キャリアの見通しを持たせることが定着率向上につながります。
たとえ5年間の就労後に帰国する場合でも、再度招聘する仕組みを作ることで、企業と特定技能外国人双方にとって有益な関係を築くことができます。
- まとめ
日本企業の多くが直面している人材不足や定着率の低さに対して、特定技能外国人の雇用は有効な解決策となります。特定技能外国人は長期雇用が可能であり、日本人労働者よりも定着率が高く、即戦力として企業活動に大きく貢献できます。また、適切な受け入れ体制を整えることで、彼らが安心して働ける環境を提供し、企業の安定経営や職場の活性化につながります。人材確保と定着が課題であれば、新たな選択肢として特定技能外国人の雇用は有力な選択肢なのです。
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