「物流倉庫 特定技能」物流倉庫の特定技能はいつから?追加時期と対応要件を解説

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物流倉庫の特定技能はいつから?追加時期と対応要件を解説

物流・倉庫業界の人手不足を背景に、特定技能制度に「物流倉庫」分野が新たに加わることが決まりました。
実際の受け入れ開始はいつからなのか、対象となる業務や企業が満たすべき要件はどのようなものか、気になっている担当者の方も多いのではないでしょうか。
本記事では、追加時期や対象業務、受け入れ要件、育成就労制度との関係など、現時点で公表されている情報をもとに解説します。

特定技能制度に新たに加わることになった物流倉庫分野について、制度上の位置づけと分野追加の背景にある人手不足の実態を整理します。

特定技能制度における物流倉庫分野の位置づけ

特定技能制度は、人手不足が深刻な産業分野で外国人材を受け入れるための在留資格制度です。
物流倉庫分野は令和8年(2026年)1月23日の閣議決定によって新たに特定産業分野に加わることが決まりました。これにより、貨物の入出庫や保管、検品といった倉庫内作業に外国人材が正式に従事できる道が開かれることになります。
この分野で受け入れが可能になるのは特定技能1号のみです。背景には、技能実習や技人国(技術・人文知識・国際業務)といった目的外の在留資格での就労が課題視されてきた経緯もあります。

分野追加の背景にある人手不足の状況

物流倉庫分野が特定技能の対象に加わった背景には、EC市場の拡大に伴い倉庫内業務の量そのものが増え続けている状況があります。
厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)によれば、倉庫作業員の有効求人倍率は令和6年度時点で0.83倍とされており※1、全体で見れば求職者数が求人数を上回る水準ですが、実際の採用現場ではエリアや繁忙期によって偏りが生じ、必要な人数を確保しづらいという声も少なくないと言われています。

表1 宅配便取扱個数は10年間で約1.3倍に増加(平成27年度~令和6年度)

年度

宅配便取扱個数

平成27年度を100とした指数

平成27年度比

平成27年度(2015年度)

37億4,500万個

100.0

基準

令和6年度(2024年度)

50億3,100万個

134.3

約1.3倍

増加分

12億8,600万個

+34.3ポイント

34.3%増

出典:国土交通省「令和6年度 宅配便等取扱個数の調査及び集計方法」より作成
※平成28年10月から「ゆうパケット」を宅配便の取扱個数に含めて集計しています。

上表のとおり物流量が拡大を続けていることで、保管や流通加工にかかわる現場の業務量も年々積み上がっていることがうかがえます。国土交通省の検討会でも、物流需要よりも担い手減少のスピードが速く、供給制約への対応が課題であるとの議論がなされており※2、こうした状況を受けて政府は物流倉庫分野を特定技能制度の対象に加える検討を進めてきました。 

ここでは物流倉庫分野の追加時期と、実際に外国人材の受け入れが始まるまでのスケジュールを整理します。

「物流倉庫」追加時期と現在の検討状況

前述のとおり物流倉庫分野は特定産業分野および育成就労産業分野として正式に追加が決まっていますが、これはあくまで制度上の位置づけが定まった段階であり、実際に外国人材の受け入れが始まるまでにはいくつかの手続きが残されています。
育成就労制度としての運用開始は令和9年(2027年)4月1日からと定められている一方、特定技能1号の技能評価試験については、開始時期が現時点(令和8年7月時点)で調整中とされています。
※出典:物流・自動車:物流倉庫分野における特定技能外国人・育成就労外国人の受入れについて – 国土交通省
企業としては、試験開始や在留資格申請受付のタイミングを継続的に確認しながら、採用計画を検討していく必要があります。

「物流倉庫」分野追加までの流れ

特定技能制度に新しい分野が加わる際は、運用方針の策定や試験体制の整備などを経て申請受付が始まるのが一般的な流れです。物流倉庫分野も令和8年中に省令・告示の整備が進み、令和9年の早い段階から申請受付が始まる見通しです。
企業側では、こうした国の準備状況にあわせて社内の受け入れ体制や就業規則の整備を並行して進めておくとよいでしょう。

特定技能1号として物流倉庫分野に従事する外国人材が、実際にどのような作業を担当できるのかを確認します。

対象となる業務

物流倉庫分野における特定技能の対象業務は、倉庫内で行われる貨物の入出庫や保管をはじめとする各種倉庫作業に限られるとされています。具体的には、貨物の受け渡しや検品、庫内での貨物移動、保管、ピッキング、そして流通加工といった一連の作業が想定されており、在庫管理も現場での主要な従事内容に含まれます。

対象とならない業務との違い

一方で、倉庫作業に付随しない業務、たとえばトラックによる輸送そのものや、倉庫外での配送業務などは、対象範囲には含まれないとされています。受け入れ企業は、担当させる業務が対象範囲に収まっているかを事前に確認しておくことが求められます。

特定技能人材を受け入れる企業側にも、一定の要件や対応が求められます。ここでは代表的なポイントを解説します。

外国人材に求められる技能・日本語知識

特定技能1号として物流倉庫分野に従事する外国人材には、以下のような要件が求められる見込みです。

  • 分野別に定められた技能評価試験に合格
  • 倉庫業務に関する一定の業務知識を有していること
  • 現場でのコミュニケーションや安全管理の観点から、一定水準の日本語能力(N4レベル程度)
  • 日本語試験は国際交流基金日本語基礎テストなどの活用が想定されるが、詳細は今後の告示等で明らかになる見込み
受け入れ機関(企業)側の対応要件

受け入れ企業側にも、以下のような体制づくりや対応が求められます。

  • 外国人材が安心して就労できる環境を整える体制づくり

  • これまでの分野と同様に、受け入れ機関としての基準を満たすこと

  • 派遣形態での受け入れを認めない方針(報道ベース)への対応

  • 勤怠管理・給与計算等のデジタル化(DX対応)を求める独自ルールへの対応

  • 直接雇用を前提とした管理体制の構築

特定技能人材の受け入れは人手不足解消の有力な選択肢となる一方、現場運用にはいくつかの課題も伴います。

人手不足解消・人材確保につながるメリット

物流倉庫分野に特定技能制度が導入されることで、企業はこれまで確保が難しかった現場作業の担い手を、正式な在留資格のもとで採用できるようになります。
この分野ならではのメリットとして、次の3点が挙げられます。
第一に、技能実習や技人国(技術・人文知識・国際業務)といった目的外の在留資格で就労させてきたグレーゾーンの雇用実態を、正式な受け皿のもとで適正化できる点です。
第二に、EC市場の拡大に伴って増え続ける物量に対し、安定した枠組みで労働力を確保しやすくなる点です。
第三に、検品・ピッキング・保管・流通加工など幅広い業務を一つの在留資格でカバーできるため、繁閑差の大きい現場でも柔軟な人員配置がしやすくなる点です。

現場での安全管理や運用面の課題

外国人材が現場作業に従事するにあたっては、言語や生活習慣の違いを踏まえた安全管理の徹底が欠かせません。
フォークリフト等を扱う現場では、安全教育を母国語や平易な日本語で伝える工夫が必要とされ、従来以上にきめ細かな運用体制が求められます。
加えて、前述の派遣禁止やDX対応といった新ルールへの対応にも、一定のコストと準備期間がかかります。

物流倉庫分野は特定技能1号だけでなく育成就労制度の対象分野にもなっており、両制度の関係を理解しておくことが欠かせません。

育成就労から特定技能1号への移行

前述のとおり物流倉庫分野は育成就労産業分野としても追加されています。育成就労は外国人材の人材育成を通じて一定期間の就労経験を積んでもらうことを目的とした制度で、一定の要件を満たせば特定技能1号への移行が可能な設計になっています。物流倉庫分野の企業にとっては、育成就労から特定技能へと段階的にキャリアを積み上げてもらうことで、教育コストを分散させながら長期的な人材確保につなげられる点が特徴です。

技能実習制度廃止に伴う移行トレンド

現行の技能実習制度は今後廃止され育成就労制度へ置き換わる方針が示されており、既存の技能実習生受け入れ企業では令和9年の移行に向けた準備が進んでいます。
技能実習からの新規受け入れが難しくなる一方、育成就労や特定技能への切り替えを見据えた社内対応が急務になりつつあります。
育成就労と特定技能の制度上の違いについては「育成就労と特定技能はどう違う?在留資格・転籍」でも詳しく解説していますので、あわせてご確認ください。

特定技能1号の外国人材を受け入れる企業には、生活支援や各種手続きを担う登録支援機関の存在が欠かせません。

登録支援機関に委託できる支援業務

受け入れ企業は、生活オリエンテーションや住居確保のサポート、日本語学習の機会提供、定期的な面談など、一定の支援を行うことが制度上義務付けられています。これらの支援業務は自社で対応することも可能ですが、専門知識や体制が十分でない場合には、登録支援機関に委託することで実務負担を軽減できます。

支援機関選定時のポイント

登録支援機関を選定する際には、物流・倉庫業界特有の業務内容や現場の状況を理解したうえで支援ができるかどうかが重要なポイントになります。採用から在留資格の申請、就労後の生活支援までを一貫して伴走できる機関を選ぶことで、企業側の負担を抑えながら外国人材の定着率を高めやすくなると考えられます。

物流倉庫分野への特定技能・育成就労制度の導入は、令和9年の本格運用開始に向けて準備段階にあり、最新情報のキャッチアップが欠かせません。アセアンブリッジコンサルティングは、登録支援機関として採用から在留資格の手続き、生活支援までをワンストップで対応するとともに、インドネシアに物流倉庫分野の人材育成拠点を保有し、現場業務に対応できる人材を送り出せる体制を整えています。人手不足の解消や人材確保を検討されている企業様は、ぜひお気軽にご相談ください。