特定技能外国人受け入れに必要な費用を徹底解説

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特定技能外国人受け入れに必要な費用を徹底解説

少子高齢化や若年層人口の減少を背景に、日本では深刻な人手不足が続いています。
これに対応するため、2019年に導入されたのが「特定技能」という在留資格制度です。この制度を使って特定技能外国人を受け入れるために「どれだけ」「どのような」費用がかかるのかを知りたい方は多いと思います。そこで本記事では、企業の経営者や人事担当者が押さえておくべき費用項目や相場、費用を抑える方法を解説します。

要約

・在留資格の申請書類や証明書の作成を行政書士に依頼→1名あたり10~20万程度

・登録支援機関への委託料→平均月2万~3万円前後

・国外からの募集・紹介手数料など採用コスト→1人あたり10万~60万円程度

・外国人の生活にかかる初期投資費用→一部または全額企業がサポートする場合は数万円~数十万円単位

・外国人の給与相場→月18万~25万円程度

在留資格関連費用
特定技能1号※1の在留資格を取得・更新する際には、入管への申請書類や証明書の作成・提出が必要です。専門家である行政書士に依頼すると、1名あたり10万~20万円程度の代行手数料がかかるのが一般的です。

※在留資格認定証明書(COE)発行のための行政書士への依頼費用など含む

登録支援機関への委託料
特定技能1号の場合、企業または登録支援機関(雇用する企業に代わって特定技能外国人の支援を行う機関)による10項目の支援が義務付けられています。具体的には入国前オリエンテーション※2、住居手配、日常生活サポート、日本語学習の機会提供などを継続して行う必要があります。
採用コスト(国外からの募集・紹介手数料など)

海外から特定技能外国人を新たに採用する場合、人材紹介会社や送り出し機関(海外で人材を集めて日本へ送り出す機関)への紹介料が発生します。相場は1人あたり10万~60万円程度と幅があり、国や業種、候補者のスキルによって異なります。また、現地面接に伴う渡航費や現地通訳費を企業側が負担する場合は、より費用がかかります。

生活支援・初期費用

特定技能外国人が日本で生活をスタートするためには、住居の敷金・礼金や保証料、家具・家電などの初期費用が必要です。これらを一部または全額企業がサポートする場合、数万円~数十万円単位の負担になることも珍しくありません。加えて、日本語学習教材や通訳サポート費、健康診断費用なども含めると、初期費用がかさむ点に注意が必要です。

給与・社会保険料
特定技能外国人には「日本人と同等以上の給与水準」を保証しなければなりません。地域や職種にもよりますが、月18万~25万円程度が一つの目安です。ハイスキルではない日本人を雇用するのとほぼ同じと考えていただけばよいでしょう。健康保険、厚生年金、雇用保険、労災保険といった社会保険への加入も日本人を雇用するのと同様に義務付けられています。そのため企業側は社会保険料の半額を負担する必要があります。社会保険料は高額なので注意が必要です。※3

1名を採用する場合、初期費用(ビザ申請代行、人材紹介手数料、住居の初期費など)として30万~70万円程度かかるケースが多いです。その後、継続費用として登録支援機関への委託料が毎月数万円、在留期間更新時(1年、6か月、4か月のいずれか)の申請費も追加で数万円発生します。トータルすると、5年間の在留期間内でフルに在籍していた場合、数十万円〜100万円超の支出を見込んでおく必要があります。

助成金・補助金の活用

厚生労働省や自治体が用意する助成金・補助金を利用すれば、日本語教材費用やマニュアル多言語化費用を補填できる可能性があります。申請のハードルはあるものの、条件を満たせば数万円から数十万円が支給されるケースもあるため、事前に情報収集する価値は高いでしょう。

自社支援体制の整備

登録支援機関に委託する代わりに、自社で支援業務を実施できれば、支援費用を節約可能です。ただし、語学対応できる社員や支援責任者を配置し、定期的な面談や生活サポートを実施するなど体制を整えることが必要となります。ほとんどの企業にとって現実的ではないでしょうが、恒常的に外国人人材を数多く雇用するのであれば考慮する価値はあります。

採用手段の工夫

海外面接をオンライン化したり、既に日本に在留している特定技能候補者を採用したりすれば、渡航費や送り出し機関への支払いを抑えられます。特に、技能実習修了者が特定技能へ移行するケースでは、実務経験がある即戦力の人材をスムーズに確保できるため、教育コストも低減できる可能性が高いでしょう。

技能実習制度との違い
技能実習制度では監理団体※4 への月額監理費が発生し、1人あたり3万~4万円程度になることが多いです。初期講習費や組合への加入費(企業が監理団体の組合員として加盟するための会費)なども加味すると、特定技能より割高に感じる場合があります。ただし、技能実習生は転職がほぼ不可能であり、最長5年間安定して就業が見込める点がメリットです。※5
高度人材(就労ビザ)との違い

高度人材向けの就労ビザでは、特別な生活支援義務がなく、登録支援機関への委託料も不要です。ただし、医師、弁護士、情報通信分野等の高度な専門性を持つ人材であるため、給与水準が高額になります。
特定技能は原則14分野に限定される一方で、給与水準が中程度なので、技能実習と高度人材の“中間的”な位置付けといえます。

特定技能外国人に関しては、支援費用を本人に押し付けることや、過度な違約金や保証金を徴収することが禁止されています。もし企業や仲介業者が不当な費用負担を要求すると、入管法上のペナルティ(外国人雇用ができなくなる、社名公表、懲役や罰金など)を課されるリスクがあります。契約書を交わす際には、サービス内容や料金体系を明確にし、不正な仲介ブローカーを避けることが重要です。

項目

主な内容

金額例

初期費用

– ビザ申請代行費用
– 人材紹介料
– 渡航費
– 住居初期費(敷金・礼金など)
– 健康診断・予防接種費など

30万~70万円以上
(国内在留者を採用すれば抑えられる可能性)

継続費用(年間)

– 登録支援機関委託料(月2~3万円)
– 在留期間更新費(印紙代+行政書士代行費用)
– 通訳・生活支援など

30万~50万円前後
(自社支援にすれば委託料をカット可能)

給与・社会保険料(年間)

– 月給18~25万円+社会保険料約15%
– 地域・職種・技能レベルで大きく変動

250万~350万円以上
(1名あたり)

参考例:初年度費用の試算

– 初期費用:50万円(例)
– 継続費用(1年):30万円
– 給与・社会保険:300万円(1年)

合計:約380万円
(1名あたり)

ご覧になって「意外に高い」と思われた方も多いかもしれません。しかし、外国人採用は人件費削減ではなく、人材不足の解消が目的です。長期にわたって定着し戦力となる人材を獲得することが目的なのです。

特定技能1号は最長5年間、また試験合格により特定技能1号から特定技能2号へ移行することで、無期限の在留資格を得ることもできます(一部業種の制限あり)。短期の離職率が高い日本人労働者を雇用するよりも、熟練労働者として企業を支えてくれる頼りになる人材に育つ可能性は高いといえるでしょう。

当社アセアンブリッジコンサルティング株式会社では、登録支援機関としてベトナム人など、特定技能を持つ優秀な外国人材を紹介しています。
不安な面などについても全面的にサポートをいたしますので、特定技能外国人の雇用を検討する際は当社にお気軽にご相談ください。

 ※1

特定技能には1号と2号があり在留期間の上限などが異なります。1号では5年まで、2号では上限がないといった違いがあり、2号ではより高い技術のレベルが要件として求められます。

 

※2

入国前オリエンテーションとは特定技能1号の外国人が日本に入国する前に実施される情報提供・事前説明のことです。業務内容や就業場所、勤務時間、給与、休日などその職場の固有の情報や日本の法律や社会ルールといった日本で生活するための基礎知識などがあります。

 

※3

健康保険と厚生年金の合計保険料率は給与の約30%です。月給が20万円であれば約6万円の保険料が発生します。このうち半分の約3万円を従業員と企業それぞれが折半で負担します。

 

※4

監理団体とは外国人を技能実習生として受け入れる企業と技能実習生の双方に対して、支援や監査を行う団体です。登録支援機関は民間団体ですが、監理団体は非営利団体であることなどが異なります。

 

※5

「技能実習」では、1号・2号・3号というステップを順調に踏むことで最長5年間の雇用(実習)が可能になるというメリットがあります。ただし、それには試験合格や適切な実習運用が前提となり、自動的に5年が保証されるわけではありません。

技能実習1号(最長1年)

来日直後の段階で、座学研修や初期実習を行う期間

実習実施者(企業)と技能実習生が適正に実習を進めているかが評価される

技能実習2号(最長2年)

1号修了時に行われる試験(技能検定基礎級など)に合格すると、2号への移行が可能

実務能力や作業熟練度を高める期間

技能実習3号(最長2年)

2号修了時にも試験(技能検定3級など)に合格し、かつ企業側や実習生の実績に問題がなければ3号に進める